働き方改革関連法の施行に合わせ、大企業や官公庁を中心に、生産性向上の鍵となるツールとして、急速な普及を見せている「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション。ロボットによる業務自動化)」。

販売管理ツール「ウランバ!!」をご利用の皆様の中にも「新しい技術は気になるけれど、うちの会社の業務でも役に立つものなのだろうか?」といった疑問を感じている方が多いのではないでしょうか。

#1:すでに5,000社超がRPAを導入

RPAとは、ソフトウェアやクラウドサービスを用いて「ロボット」と呼ばれるプログラムを作成し、人間が行う業務を模倣して自動化する技術です。これら「ロボット」はプログラミングの技術を使わずに開発することができます。Excelのマクロとよく似ていますが、VBAなどのプログラミング言語を習得する必要がありません。「指示した業務の作業ファイルの置き場所が変わった」という場合にも、簡単にロボットへの指示内容の修正を行うことができます。また、開発した「ロボット」の数が増えてきた場合にも、ロボットの仕事ぶりを管理する機能も充実しています。これは、マクロにはない利点です。

 

RPAの導入企業数は「2018年内に5,000社超に上る」と予測されていましたが、その普及速度は徐々に加速しています。※1

また、これまでは製造業やIT・運輸などのサービス業、保険会社などの金融機関といった業種を中心に大企業が先陣を切ってRPAの導入を進めてきましたが、2018年には多くの都道府県や市町村役場で試験導入が始まりました。

これらの企業や役所に共通していることは、「バックオフィスに大量の事務作業を抱えている」という点です。

#2:RPAが「役に立つ」分野は「PC上での大量の定型作業」

この「大量の事務作業」こそが、まさにRPAが役に立てる分野なのです。RPAの得意分野は「人間が反復して行っている、PC上での定型作業」。

銀行での窓口業務をイメージしてみてください。毎日、たくさんの顧客がやってきては、問い合わせや申し込みを行い、バックオフィスには大量の申込用紙やデータが舞い込みます。これらを処理するために、入力内容に誤字脱字がないか確認したり、システムにデータを打ち込んだり…という作業が発生します。これらの業務を人間に代わって行うのがRPAの「ロボット」です。

 

逆の観点から言えば「単発の業務」「非定型の業務」「PC作業以外の業務」が多い企業では、RPAは力を発揮できません。

RPAソフトウェアの普及が進み、無料ソフトも登場してきましたが、代表的なRPAソフトの価格は、中堅規模の企業にとっては安価とはいえません。

極端な例でいえば「24時間365日、人間の代わりに定型のPC作業をロボットに代打してもらう会社」ならば、人件費の節減や、手の空いた人間がより付加価値の高い業務を担当することによるメリットを享受できますが、一方で「一度きりの業務のために、何十時間分の人件費をかけて1つのロボットを開発する会社」では、投資回収は難しいでしょう。

さて、あなたの会社のバックオフィスを見渡してみましょう。大量のデータ処理に大わらわになっている社員がいるならば、今こそRPAを試してみるチャンスかもしれません。

 

※1. 日経コンピュータ「未来を変える技術20 RPAの導入企業は2018年内に5000社超へ、AI連携で人手不足を解消」(2018/01/15)

 

執筆者:取材の匠 ライター 狩野 詔子

かのさん中小企業診断士事務所 代表

サービス業におけるインダストリアル・エンジニアリング(IE)の普及を目指し、大阪府中小企業診断協会「観光・サービス経営研究会」代表として、関西の飲食業・観光業向けの経営診断や、収益改善のためのコンサルティングサービスを提供している。

著書:
「一人ひとりの『働き方改革』講座」(共著、日本マンパワー、2019年)

セミナー講師:
「サービス業に使えるIE手法と先進企業事例」