経営者の方は、常に売上をアップさせるために、様々な工夫をされていらっしゃると思います。その売上は、どのような構成になっているのでしょうか。

『売上=①客数×②客単価』

 

売上は、①客数②客単価から成り立っています。当然のことで拍子抜けするかもしれませんが、この2つの視点が、実は意外に見落とされがちです。

「売上をアップさせたい!」――商売をしている以上、売上アップを望むのは当然のことです。売上向上のために新商品を開発する、今までやっていなかったオンライン販売をするなどの新たな取組みや、認知度を高めるための販促活動をしている方も多いと思います。ただ、ここで少し立ち止まって考えてください。その活動って何のためにしているか意識できていますか?売上を上げるためなのは当然ですが、「どのように」上げるのかを意識できているでしょうか。

 

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#1 客数アップ

『客数=新規客+既存客(×利用回数)』

ビジネスの形態にもよりますが、一般的にお客様は、新規客と既存客の大きく2種類に分けられます。その中でも新規客は、こちらからの情報発信で認知される場合もあれば、既存客からのクチコミやSNSでの評判などによって購入や来店に結び付く場合があります。

一方、既存客はどうでしょうか。既に利用してもらっているとはいえ、その利用頻度によって客数の総合計に大きな影響を及ぼします。さらには、他社商品や他店への乗り換えなどによる顧客の流出を防ぐため、継続的な関係性の構築が必要になります。

 

#2 客単価アップ

『客単価=商品価格×買い上げ点数』

客単価を上げるには、商品価格を上げる、もしくは顧客の買い上げ点数を増やすことが必要になります。ただし、商品の価格を上げるには付加価値を高めるなどで顧客の納得感を得られなければ、なかなか受け入れてもらえません。

買い上げ点数を増やすにはどうすればいいでしょうか。商品の数を増やす、顧客に商品の良さを知ってもらい他の商品との同時購買を促すなど、策はいろいろ考えられます。

 

#3 狙いは客数?客単価?

例えば飲食店で、チラシを配って自店の認知度を高めるといえば、新規客の獲得による①客数アップを狙ったものだとわかります。他方で、新メニュー開発をした場合、①客数アップにも②客単価アップにも関係するものの、どちらを狙っているかによって戦略は変わってきます。狙いが①客数アップであれば、新メニューの情報をホームページに載せたり、顧客にDMを送って情報を提供したりすることで、来店を促します。②客単価アップを狙う場合は、価格を高めに設定したり、来店時に店員が積極的にお勧めしたりするなどの販促活動が考えられます。

大切なのは、①客数②客単価の2つの視点から見たとき、自分がどの立ち位置から売上を伸ばそうとしているのかを明確にすることです。客数と客単価の視点を明確にせず、ただ売上を上げるために新メニューを開発するというような考えだと、実際の行動に移す際にブレが生じる場合が多く、何のための戦略なのかが明確になりません。逆に、視点をはっきりさせた上で戦略を立てることで、上記の例のように自分と周囲に行動の軸ができて、方向性が定まります

売上アップを考える際は、意外と忘れがちな「客数と客単価」2つの視点を、今一度意識してみてください。

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haneishi

執筆者:取材の学校 ライター 中小企業診断士 羽石 欣司

中小企業診断士、調理師

大学卒業後、ファーストフードチェーンにて店舗運営をはじめとした経営を学び、料理人の道へ。成田空港近くの大規模ホテルや個人レストランで、フランス料理やイタリア料理を中心に洋食調理に従事。現在は食品会社で、主にプロジェクトリーダーとして提案営業やプロジェクトの推進・管理を行う。

暇さえあればケーキを作り食べている、大の甘いもの好き。自身の経験を活かした、現場目線での飲食店支援を目指している。