労働にまつわる「時間」と「お金」の関係性とは?

「時は金なり」ということわざをご存知でしょうか。「時間はお金と同じくらい貴重なものであるから、できる限り有意義に使うことを意識した方がよい」といった意味合いの言葉ですね。

この語源は、アメリカの100ドル紙幣札の肖像としても描かれているベンジャミン・フランクリンが発した「Time is money.(タイムイズマネー)」にあります。そしてこの言葉は、「時間はお金同様に大事(=資産)である」という気づきを与えてくれるだけでなく、「時間の使い方によっては、無駄なお金を浪費した(=有益なお金を手に入れられなかった)ことになる」といった機会費用の考え方の重要性を問うものでもあります。

そこで今回は、労働にまつわる「時間(time)」と「お金(money)」の関係性について考えてみたいと思います。

#1 「時間」そのものがお金になることはない(時間≠金)

賃金形態の一つに「時間賃金」というものがあります。時給、日給、月給といったかたちで、労働者が従事した時間に応じて賃金が支払われるというものですね。他方で、「個数賃金」という形態も存在します。これは、労働者の生産高や作業量に応じて賃金が支払われるものです。

つまり、前者は「時間」に対して、後者は「成果」に対して労働の対価が発生するということです。

 

日本の労働基準法は「労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべき労働条件」を定めたものであり、労働を「時間」というモノサシで測る考えが根底にあります。よって、「人たるに値しない生活」を助長する時間外労働や休日労働などに対しては割増賃金という「罰則」を定め、長時間労働を是正しようとするのです。

 

しかし、「時間」そのものに価値はあるのでしょうか。

例えば、同じ1時間の会議を比べた場合、結論を出せた会議と出せなかった会議とではどちらが有意義でしょうか。また、同じ1時間の商談を比べた場合、成約につながった商談とつながらなかった商談とではどちらが効果的でしょうか。・・・考えるまでもありませんよね。そう、労働の価値を測るうえで重要なのは、どれだけの「時間」をかけたかではなく、どれだけの「成果」を生み出せたかです。

つまり、「時間」そのものがお金に換わるわけではなく、時間を活かして生み出した「成果」にこそ、お金のような価値が生まれてくるのです。

 

#2 仕事に費やせる「時間」は無限ではない(時間=資源)

昨今、政府や民間企業で叫ばれている「働き方改革」の背景には労働力人口の減少があり、ここでは、限られた人手の中で「時間あたりの労働生産性」を高めることが強く求められています。

 

ずいぶん昔の話になりますが、私が社会人になりたてのころ、とある先生に「仕事ができる人ってどういう人のことですか?」と素朴な質問をしたことがあります。

そのとき、先生からは次のような答えが返ってきました。

「二通りあると考えています。一つ目はどこまでも仕事に時間を費やせる人のことで、二つ目は時間どおりに仕事を終わらせられる人のことです。」

この真偽はさておき、ここで、両者の答えが「時間」を軸に語られていることにお気づきでしょうか。前者は「時間」を無限のものと捉えているのに対し、後者は「時間」を有限のものと捉えています。

生み出される「仕事の総量」でいえば、費やした時間の分だけ前者の方が大きくなるかもしれません。しかし、「働き方改革」で求められている「時間あたりの労働生産性(=成果÷時間)」で比べた場合はどうでしょうか。一般的に、長く働くほど仕事の質と効率は低下していくものですので、後者の方が大きくなる可能性が非常に高いですよね。

また、労働の担い手となる人材の多様化により、育児や介護など、仕事以外で時間制約のある人が今後さらに増えていくことを考えると、「時間」を無限と捉えていては経営が成り立たなくなることも想定しておくべきでしょう。

 

つまり、「時間」を有限な資源と捉え、限られた時間の中でより高い成果を発揮するための仕事の管理がさらに重要となってくるのです。

ウランバでは、経営者だけでなく、営業や経理スタッフといった様々な立場からみた仕事の管理が可能です。効率的な管理を行うことで、生産性の高い仕事の仕組みをつくっていきましょう。
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執筆者:取材の学校 ライター 小寺 暁子

1980年生まれ。福井県出身。一橋大学社会学部卒業。中小企業診断士(2016年登録)。大学卒業後は、設立7年目のベンチャー企業である福利厚生代行会社に入社。企業の選択型福利厚生制度の業務設計や法人登録などのオペレーション業務に携わった後、2007年に経営企画室へ異動し現在に至る。そこではIR、予算管理、原価計算といった会社の管理・調整業務を行うとともに、業務効率改善に向けたBPR関連のプロジェクト運営にも参画。大事にしていることは「ご縁と共感」。

趣味は、年1回の海外一人旅と盆正月の福井帰省。週末は近所のお気に入り喫茶店によく出没している。