「組織図を作らなければならないのはわかっているんだけどね…。」

中小企業経営者の方々から、そんなお話をうかがうことがあります。

実際には、売上や利益を確保することが優先事項であり、組織図を作っている暇はないというのが本音なのかもしれません。

 

今回は組織図の果たす役割について一緒に考えていきたいと思います。

#1 組織図を作らずに経営を進めていくと…

A社のケースを見てみましょう。A社はサービス業を営んでいる中小企業です。最近、取引先が増えてきたため、とり急ぎ従業員を増員しました。すると、新しく入ってきた従業員が思うように働いてくれません。そのうち、顧客からのクレームや帳簿の計算が合わないなどトラブルが多発しはじめます。従業員は誰が責任をもって対応すれば良いのかわからず、一向に解決しません。経営者の耳に入った時には収拾がつかないほど悪化し、売上も伸び悩んできました。「そろそろ事業を引き継ぎたいと考えていたが・・・。」社内には適当な人材が見あたりません。

A社のどこに問題があったのでしょうか?

 

#2 組織図=企業にとっての設計図

組織図とは、組織の将来像を現した“設計図”になります。

組織図を作るということは、役割分担や責任の範囲、指揮・命令系統を明確にするという行為です。組織図が出来上がれば、将来像に近づくために必要な、人材や設備、規則・制度などが把握できるようになります。

 

もし、A社が組織図を作っていれば、必要なスキルを持った人材だけを雇い、適切に配置することができたでしょう。仕事内容も決まっていますから、従業員が何をしてよいか迷うことはありません。トラブルが発生したとしても責任範囲や指揮・命令系統がはっきりしているので、早期解決ができたはずです。後継者育成のために事業部制を採用していれば、今頃は後継者候補が2,3人はいたかもしれません。

 

「うちの会社は組織図を作ってあるから、今回の話は関係ないな。」

いいえ、そんなことはありません。組織図は将来像を現していますか?一度見直すことをお勧めします。

 

#3 組織図を作るために必要な3つのステップ

では早速、組織図を作ってみましょう。

 

ステップ1 将来像をイメージし、目標を明確にする。

組織図を作る上で重要なポイントは企業の将来像をイメージすることです。

いつまでにどのようになっていたいか?企業が目指すべき目標を明確にします。もし具体的な目標がないようでしたら、これを機会に企業の将来について考えてみてください。

 

ステップ2 組織形態や必要な部門と役割を決める。

将来の目標を達成するために必要な組織形態は機能別?それとも事業部制?今後必要になる部門をすべて洗い出し、各部門に求められている役割・仕事内容を割り当てます。

 

ステップ3 責任者と従業員を配置する。

組織形態と部門が決まったら、あとは責任者と従業員を配置します。もしかしたら、従業員の数が少なく全部門に配置できないかも知れません。従業員の仕事内容や責任範囲を明確にするために、兼任でも構わないので必ず配置してください。

 

将来像をイメージしやすい、具体的な組織図が出来上がったのではないでしょうか?それと同時に目標に達するために足りない人材や設備、規則・制度などが発見できたのではないかと思います。

 

将来、「上場企業にしたい!!」「100年続く企業にしたい!!」そんな“想い”を叶えるために役立つのが組織図なのです。

 

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執筆者:取材の学校 ライター 中小企業診断士 太田泰嗣

中小企業診断士 ITコーディネータ 上級医療情報技師 他

東京都生まれ、埼玉県育ち。大学卒業後、ニートからフリーター、正社員を経て、現在、企業内診断士として活動中。企業では医療機関向けに情報システムの提案~導入~保守を行う。中小企業診断士として医療分野やIT分野のコンサルティングをはじめ、執筆やセミナーなど幅を広げている。

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