「色」に囲まれて私たちは生活しています。一歩家から外に出ると、青色の看板に白い字で書かれた道路標識、信号を見れば青色と赤色。街を歩く人々の洋服や、目立つ色の看板。東京スカイツリーは毎夜異なる色で光り輝いています。街の色だけではなく、色には「悲しい気持ちの色」「暖かい色」といったような心理的作用があります。色を通じて店舗や空間を演出したり、魅力的な商品開発をしたり「色」の知識はとても奥が深いです。私は化粧品を専門にしているので日々「色」の世界に生きています。この色を使った知識は化粧品業界だけではなく、小売りや飲食店など応用できる範囲は広いと考えています。

今まで気にしてなかったかもしれませんが、「色」を使った魅せる技術を一緒に考えていきたいと思います。

#1 色の基本は“順番”を意識する

実は色には順番があります。細かい話をしてしまうと光の波の話。つまり物理学を語らなければいけませんので、「色には順番がある」というポイントだけご説明いたします。覚えておいて貰いたい順番は「赤⇒黄⇒緑⇒青⇒紫」という並び方です。マンセルの色相環とも呼ばれています。

洋服店を過程して具体例を使ってみてみましょう。洋服にも様々な色があると思います。大人用、子供用、女性用とカテゴリ毎には分けられているのですが、そのカテゴリの中にあるショーケースで色が順番通りに並んでいないケースもあります。いわゆる「目が散らつく」と呼ばれる陳列です。

これを改善するには自然な陳列、つまりマンセルの色相環にならった陳列を行います。左上に赤、中央に黄、最後が青や紫という陳列にします。これが自然を意識した陳列方法になります。もちろんファッションですので流行の色を前面に出したいという事であれば、その色を軸に添えた陳列など工夫は必要です。色を意識した並び順は基本があるという事を参考にしてみてください。

#2 色の心理的効果を考える

飲食店を経営されていれば「青色は食欲を減退させる」という話を聞いた事があるかもしれません。青色の箸が少ない事もこの事に起因しています。色の並び方に続き色が人に与える心理的な影響について少しお話します。そもそも人間は色を見て本能的に何かを察知します。そのモノが危険なのか安全なのか本能的に判断していますので、色自身にどのような心理的影響があるのかご紹介いたします。

 

赤色やオレンジ、黄色などの火をイメージした色は暖かい色とされ、逆に青色や青紫色などの氷をイメージした色は冷たい色とされています。スキーのウェアで赤やオレンジが多いのは暖かいイメージをしている商品が多いからかもしれません。

他にも白色が軽くて、黒になるほど重く感じるという心理データもあります。白と黒の中間が緑や青色になります。カバンなど重厚な重い印象をさせたい時は黒に近く、プライベートでデートに使用する鞄などは白に近いイメージです。

 

「色」を使った商品展開や店舗作り等まだまだ奥が深く難しい分野です。まず基本のキから「色の順番」と「色の心理的作用」を意識して実践してみてください。

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執筆者:取材の学校 ライター 島袋智輝

1980年東京都江戸川区出身、神奈川県在住。中小企業診断士、カラーコディネーター。大手日用品メーカー化粧品事業部の技術者。色の専門知識を活かして口紅のカラーベース製造における調色のテーマで工場長賞受賞。その後、経営に関わりたいと感じ始め2015年に中小企業診断士を取得。「経営者の右腕」をテーマとして中小企業の社長のサポートを行っている。コンサルティングの専門はビューティケア業界や製造業であるが、ライターとして執筆、大学で講演と幅広く活動している。