【ここをチェック!】三回シリーズの第二回です。
なかなか売上が上がらない時に考える事といえば値下げですよね。でも中小企業にとって値下げは価格競争に巻き込まれる危険性を持つ戦略。値下げが思い浮かんだら確認するべき3つのポイントをご紹介します。
#1: 値下げをしても利益を得られるのかをチェック
そもそも中小企業では値下げ戦略はオススメしません。安売りをしてしまうと、価格のみを選択基準にしたお客様ばかりが来ることになってしまいます。また、安売りをしたからといって、通常価格と同じ粗利益を得ようとすると、かなりの数を売らなくてはならなくなります。
例えば、御社で通常価格が1つ1,000円の商品で粗利益が500円の物が100個売れていたとします。(売上原価は500円ですね。)
ここで、通常価格より20%安く売って1つ800円で100個売ったとしたら粗利益はどうなるのでしょうか。また、通常価格と同じ粗利益を出そうとしたら、何個売らないといけないでしょうか。
(一度考えてから以下をご覧下さい。)
<通常価格の場合>
(1000-500)×100=50,000円
<安売りをした場合>
(800-500)×100=30,000円
<通常価格と同じ粗利益を出すためには何個の商品を売らなくてはいけないか>
安売りをした場合の1個当たりの粗利益は300円なので
50000÷300=166.666666・・・
このケースでは20%安く販売したら、粗利益は40%ダウンすることが分かります。
また、通常価格と同じ粗利益を出そうとすると166%つまり1.66倍以上の個数を売らなくてはいけません。たった20%で1.66倍の個数を売らなくてはいけないと考えるとかなり厳しいですね。
もし、値下げを考えるなら、通常価格の何倍の個数を売らなくてはいけないかを一度計算してみて下さいね。
#2: 値下げではなく、付加価値をつけて価格を維持できないかをチェック
「価格を維持する」と小見出しでは書いていますが、できれば付加価値つけて価格を上げたいですね。商品にもよりますが、カスタマイズできる、他社より早く対応出来る、サポートをつける、メンテナンスをつけることは出来ないでしょうか。
例えば、人気のランドセル製作所では、外側と内側の色の組み合わせを選べたり、6年間のサポートをつけています。ランドセルの中では高額の価格帯にも関わらず、人気は高く、毎年人気ランキングでも上位をキープしています。
お客様の満足度を上げることで高価格を維持できているのですね。
#3:「まとめる」、「ポイント」、「組み合わせ」ができないかをチェック
どうしても値下げを余儀なくされたら、考えていただきたいのが、「まとめる」「ポイント」「組み合わせ」です。
「まとめる」
例えば「3つ買ったら、1つ無料でプレゼント」がこれにあたります。ちなみに人間は「無料」という言葉に弱いので、「4つ買った25%オフ」と表記するよりは、「3つ買ったら、1つ無料」と書くことをオススメします。また、1つ無料の商品でも、可能であれば、同類の商品の新製品をつけると、新製品の紹介にもなって一石二鳥です。
「ポイント」
店舗で発行されるポイントカードのポイントやスタンプカードのスタンプの個数を増やすのはいかがでしょうか。実際にはその場ですぐ値下げではないのですが、ポイントやスタンプがたまると、お客様に特典があるように設定されている場合がほとんどであり、実質の値下げですね。
リピートを狙える戦略でもあります。
「組み合わせ」
他の利益率の高い商品と組み合わせて値下げはできないでしょうか。○○と△△を組み合わせると□円引きがこれにあたります。ただ、この場合も組み合わせて、御社が狙う利益率になるのか計算が必要です。
今回は値下げする前に確認したい3つのポイントをお伝えしました。「ウランバ!!」では原価・粗利管理もできます。ぜひ、活用してみてくださいね。
次回の【ここをチェック!】シリーズ経営計画を作る3つのメリットをお教えします。お楽しみに。
執筆者:取材の学校 ライター 川崎朋子
中小企業診断士・経営コンサルタント。
外資系製薬会社でMR(営業)として勤務し数多くの営業成績を残す。その経験を活かし、独立開業。マーケティング・営業戦略の立案、新規事業戦略の立案を行う。売上向上を目指す経営者のためにコンサル・セミナー・取材&執筆と日々奔走する。
大好きな食べ物は肉。取材の学校では肉部部長としても活動する。