ビジネスは日々、意思決定の連続です。会社の業績に大きな影響を与える案件についての意思決定もあれば、些細な案件についての意思決定もあります。この意思決定の積み重ねが、将来の会社の形を決めていくと言っても過言ではありません。

ところで、いざ意思決定を行うにあたり、皆さんは何を根拠として意思決定を行っているでしょうか。これまでの経験?勘?ロジックの積み上げ?・・・人によって色々な根拠に基づいて意思決定を行っていることでしょう。しかし、たとえ意思決定の対象が、日々の定例的な業務に関するものであったり、長い経験の蓄積がある業務に関するものであったりしても、今までの経験や勘に頼った意思決定は最適だったと言えるでしょうか。あるいは、過去の業績よりもさらに良い結果を出そうとするならば、今まで以上に意思決定の質を向上させる必要がありますよね。その心強いツールの一つとなるのが「統計」です。

 

#1:統計で何が分かるのか

さて、皆さんは「統計」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。国勢統計とか人口統計といった、中央官庁が発表している統計でしょうか。これはセンサスと呼ばれる統計で、調査対象のすべてについて、データを取るものです。これはこれで大変意味のある統計ですが、調査するのに非常にコストも時間もかかります。

製造業の方なら馴染みがあると思いますが、例えば不良品が出ていないかどうかをチェックするのに、全数検査をしていたら、時間とコストがかかり過ぎて、とても経営は成り立ちません。しかし製造物全体の中から、ランダムかつ無差別にサンプルを取って調査することで、製造物全体のうち、どのくらいの割合で不良品が出ているかどうかを推定することは可能です。この手法を標本統計と言いますが、全部を検査しなくとも、標本統計を使うことで、「普通の状態」と「普通でない状態」を区別して把握することが可能になります。

#2:ビジネスに効く統計の例

また、例えば過去の販売実績データを基に、「回帰分析」と言う強力なツールを使って、様々な事象の因果関係を見つけ出すことも可能です。回帰分析とは、例えばあるレストランの来客数の実績と、その日の天候、曜日、各種媒体に使った宣伝費、原価率等の実績の間に、どのくらいの関係性があるかどうかを調べる手法です。その結果得られた、各要素間の関係性の強さを表す数式(これを回帰式と言います)を見た時、来客数に最も大きな影響を与えている要因は何なのか、という分析をすることが可能になります。もし最も大きな影響を与えているのが、地元のタウンニュースに出している広告だとすれば、その広告費を追加することで、来客数を増やすことができる可能性が高いことが分かります。もし広告費の増加分よりも来客数の増加による収入の増加分が多いようであれば、広告費を増やしましょう。また、実は曜日が最も大きな影響を与えているとしましょう。金曜日の夜は月曜日の夜よりも二倍の来客数が見込めるということであれば、月曜日に購入しておく食材を節約したり、月曜日のパートの人数を減らすといった機動的かつ効率的な経営が可能になります。このような取り組みによって、意思決定の質の向上が期待できます。

もちろん統計を使って推定した結果が外れることもあります。しかしその外れ具合も例えば5%の確率で外れる可能性があるとか、1%の確率で外れる可能性がある、といった形で、感覚ではなく定量的に把握することが可能になるのです。

 

次世代クラウド販売管理サービス「ウランバ!!」に日々蓄積されていく情報を活用することで、埋もれていた宝の鉱脈を効率的に探し当てられる可能性が高まります。「ウランバ!!」を活用することで、さらにビジネスにおける意思決定の質を高めていきましょう。

 

 

 

執筆者:取材の匠 ライター 鷹野 慎太朗

中小企業診断士(2017年度試験合格、2018年度中登録予定) MBA

東京都出身。東京大学経済学部卒。米国ダートマス大学タック経営大学院修了(MBA)。運輸業界にて経理、経営管理、経営企画等に従事し、現在は個人投資家向けIR業務を中心に担当している。その他、中小企業診断士試験の受験生支援団体にて、セミナーの開催やブログの執筆を行っている。