近年、「デジタルマーケティング」という言葉を見聞きする機会が増えてきました。デジタルマーケティングとは、インターネットやITなどデジタル技術を活用したマーケティング手法のことを言います。ITメディア情報サイトはHPを活用した集客を狙う「WEBマーケティング」を取り上げ、資格学校はWEB上で商品販売する「ECサイト」の運用講座を開設し、大手ITベンダーや広告代理店は、取得したデータを分析して戦略立案を行う「データドリブンマーケティング」を提供しています。デジタルマーケティングに関するソリューションを一堂に集めた専門展は年々規模が拡大しており、多くの来場者で大盛況となっています。中小企業庁ではIT導入補助金における補助上限額を50万円から450万円と大幅に増加する発表があり、生産性向上に資するITツール導入のハードルが下がってきています。

今回は、重要な要素の1つである「データドリブン」について考えてみたいと思います。中小企業はデータドリブンに、どのように取り組んで行けばよいのでしょうか?

 

 

#1:データドリブンで成功する企業「でんかのヤマグチ」

ヨドバシカメラ、ヤマダ電機等の家電量販店がひしめき合う東京都町田市。その中で、街の電機屋さんとして親しまれている企業が「株式会社ヤマグチ(でんかのヤマグチ)」です。家電量販店の倍近い販売金額にも関わらず、シニア層の顧客から絶大の信頼を得ています。その理由は2点あります。

1点目は、「遠くの親戚より近くのヤマグチ」と言われるほどの、徹底した顧客サービスです。「電球1個の交換でも飛んで行く」、「頼まれれば、録画予約もする。今日のドラマの番組予約も飛んで行く」、「頼まれれば、営業車で駅まで送る」と、至れり尽くせりのサービスを無償で提供しています。その様な他社には無いサービスが受けられるからこそ、顧客はヤマグチを信頼し、高い金額でも購入するのです。

そしてこちらが重要なのですが、2点目の理由は「顧客データの徹底的な収集と活用」です。ヤマグチは顧客台帳を整備し、徹底的に顧客情報を収集・更新しています。顧客をランク分けし、5年間何も買わない顧客は台帳から外します。顧客台帳には累計購入金額だけでなく、世帯主の生年月日、夫婦の趣味、住居の形態、間取りなども記録します。特筆すべきは家電の購入履歴で、他店で買ったものも全て記録しています。それにより、適切な買替検討タイミングで、顧客に具体的な提案ができるのです。至れり尽くせりのサービスを通して顧客情報を収集し、それを確実に保存、管理して、提案行動につなげる。データドリブンの本質が実施されています。

#2:大切なのは、仮説を持ってデータを集め、分析すること

データドリブンの話をすると、必ずと言ってよいほど、ビッグデータの話がついてきます。ビッグデータと聞くと、大掛かりな設備投資をして大量のセンサーを用意し、そこから多くの情報を集めて分析することを想起するかもしれません。しかしながら、ヤマグチの事例にある通り、大規模なシステムは必ずしも必要ではありません。大事なのは「仮説」を持つことです。データを大量に集めて分析すれば、素晴らしい答えが見つかるということはありません。「データを沢山集めたら、何か良いものが発見できるのではないか?」ではなく、「多分、こういうことが言えるのではないか?」という仮説を持つ。その上でデータを取集・分析し、そこから何を言えるのかを考え、それを繰り返して修正することが大事になります。

 

ウランバの顧客管理、営業支援機能を活用することで、勘に頼った従来の手法から、データで考えてロジカルに経営課題を解決することができます。ウランバを活用したデータドリブンに積極的に取り組み、効率的な販売管理を行い、売上拡大に繋げてください。

 

 

 

執筆者:取材の匠 ライター 田代 順一

中小企業診断士

1977年神奈川県横須賀市生まれ。東京理科大学イノベーション研究科技術経営専攻(MOT)修了。精密機器メーカーの医療機器開発部門にて、商品企画・開発業務に従事。川上(顧客創造、商品開発)から川下(製造、検査、サービス体制構築、販売促進)までものづくりの一貫した経験を有し、オフショア、OEM/ODM開発など組織間協業を得意とする。技術を大切に考え、技術を軸にした視点から経営分析・助言を行うことを強みに、製造業の経営支援を中心に活動している。