「在庫管理ってそんなに重要?在庫が減ってきたら、無くならないように発注すればいいんでしょ。」――確かにそうです。在庫がなくなる前に発注して在庫切れを起こさなければ、お客様は買いたいときに手に入るので困りません。では、適正在庫を保つのはなぜ大切なのでしょうか。答えはズバリ、売る側の自分が困らないようにするためです。

在庫過多の場合、その分だけ商品を置くスペースが必要になり、生鮮食品ともなれば賞味期限切れリスクも大きくなります。そうなると当然、保管料や食材ロスなどの在庫管理費用が高くなりますよね。逆に在庫が少なすぎる場合、お客様から受注しても、在庫がないので売ることができないという失注リスクとなり、売上を逃がすだけでなく信用の低下にもつながります。

ここで重要になってくるのが、適正在庫を保つための在庫管理。今回は、在庫管理の基本として発注方式の使い分けについて説明します。

#1 定量発注方式

発注方式は、大きく分けて以下の3つがあります。

  • 定量発注方式
  • 定期発注方式
  • ダブルビン方式

まず①の定量発注方式について。

定量発注方式とは、読んで字のごとく一定量を発注する方式です。ではいつ発注するのかというと、在庫の最低ラインを決めておいて、そのラインを下回ったら、という時期になります。

ちょっとわかりづらいので例を示しますね。例えば居酒屋で、ある銘柄ワインの在庫最低ラインを10本と決めておきます。その最低ラインの10本を下回ったら30本を発注するというように決めておいて、在庫が10本を下回ったら常に、決めた30本を機械的に発注します。

定量発注方式は、在庫の最低ラインと発注量を決めれば、単純な在庫確認・発注作業だけで面倒な計算も必要ないので、手間をかけずに発注作業を行うことができ、在庫関連費用を抑えられます。しかし、需要変動の激しい商品や調達期間が長い商品の場合は、発注量が決まっているため需要の変動に対応しづらいというデメリットがあるので、在庫の最低ラインや発注量の設定、適用する品目の選択には注意が必要です。

#2 定期発注方式

次に②定期発注方式です。①定量発注方式が、決められた一定量を不定期で発注するのに対し、定期発注方式は、決められた期日に、必要な量をその都度計算して発注する方式です。定量発注方式との違いを簡単にいうと、量が一定か、期日が一定かといったとこでしょうか。

居酒屋の例で、ビールが売れ筋とした場合に、銘柄ごとの需要変動が大きい場合などは、発注量を調整できる定期発注方式が適していると言えます。定期発注方式は、きめ細かい調整ができるため、全ての品目に適用するのが理想です。しかしながら需要予測に基づく発注量の計算などの手間がかかるため、発注作業の負荷などバランスを考えた場合には、品目によって①定量発注方式との使い分けをすることが重要になります。

#3 ダブルビン方式

最後は③ダブルビン方式です。こちらは簡単に言うと、同容量の二本のビンのうち、一方のビンが空になり、他方の在庫を使用し始めた時に1つのビンの容量を発注する方法です。居酒屋でいえば、日本酒の一升瓶を思い浮かべると分かり易いかもしれません。

ダブルビン方式は、いわば定量発注方式の簡易版で、需要量や品質の変化が少ないものに適しています。

今回は発注方式を大きく3つに分けて説明しました。次回は、ABC分析という手法を用いた、発注方式の効果的な使い分けについてお話します。

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次回、「在庫管理のキソ②」は3月初旬の更新を予定しております。

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haneishi

執筆者:取材の学校 ライター 中小企業診断士 羽石 欣司

中小企業診断士、調理師

大学卒業後、ファーストフードチェーンにて店舗運営をはじめとした経営を学び、料理人の道へ。成田空港近くの大規模ホテルや個人レストランで、フランス料理やイタリア料理を中心に洋食調理に従事。現在は食品会社で、主にプロジェクトリーダーとして提案営業やプロジェクトの推進・管理を行う。

暇さえあればケーキを作り食べている、大の甘いもの好き。自身の経験を活かした、現場目線での飲食店支援を目指している。