みなさんは3Dプリンタって言葉、聞いたことありますか?「紙に印刷するプリンタなのに立体?なにそれ?」と思った方も多いのではないでしょうか。説明するよりも実物を見ていただいたほうが良いので画像をお見せすると、こんな感じです。

この3Dプリンタは小型なのですが、パソコンの文書データをプリントアウトする家庭用のインクジェットプリンタを想像していた方は、ぜんぜん違うのでちょっと驚いたかと思います。そして、このプリンタを使って出力されるものが、次のようなものです。

 

印刷・・・というよりは、立体の物体が出力されるのがお分かりいただけるでしょうか?3Dプリンタというのは、設計図で作成された立体情報そのままの立体を出力することができる装置なのです。お見せした例の素材はプラスチックですが、金属の物体も出力することができます。もともと3Dプリンタの技術は20年近く前からあったのですが、最近になって特許が切れたことで爆発的に普及、低価格化が進んできています。

 

#1 いま注目されている最新の技術

3Dプリンタ以外にも、モノづくりを行う上でさまざまな技術が登場してきています。物体の形状を正確に読み取って設計情報として保存することができる3Dスキャナや、設計データ通りに高精細な切断や刻印を行うことができるレーザーカッターなど、その他にもさまざまな機器が登場してきています。

↑3Dスキャナで読み取った靴のデジタルデータ

しかし、高精細な加工ができる機器であれば、昔からあったはずです。最新の技術は何が違うのでしょうか?それは、機器や設計情報はすべてインターネットに接続できるということです。インターネットに接続されることによって、設計情報が多くの人たちに公開され、多くの人たちの手によって改良が加えられていきます。たとえば、今まではモノづくりに欠かせなかった金型の設計データは門外不出のものとして、工場内のシステムに厳重に保管をされていました。しかし、新しいモノづくりの世界では、誰かが「コップを作りたい」と考え基本的な金型のデータを公開したら、世界中の人たちがコップの金型データに改善を加えて行ってくれるわけです。そして出来上がった金型のデータをもとに、3Dプリンタで金型を出力して、その金型を利用してコップを作る、といった感じです。もちろん、最初から3Dプリンタでコップを作ることもできます。

 

#2 モノづくりの現場はどう変わっていくのか?

インターネットに接続された新しい技術をもった機器の登場によって、モノづくりの現場はどう変わっていくのでしょう?たとえば、先にお見せした3Dプリンタでは、金属部品を出力することもできます(下図参照)。

しかも、人間の手では複数の部品を組み合わせて作るしかないような部品も、組み合わせなしで出力することができます。もちろん、研磨など人の手を使わないといけない工程はありますが、強度の面からみて組み合わせをする必要がないというのは大変な利点です。組み合わせの数だけ不具合が発生し得る箇所があるわけですから、それがなくなるだけでも大変な精度向上なのです。このような精度の高い部品や製品を、インターネット上にある設計情報をもとにカンタンに作ることができる時代になってきているのです。

では、このような技術革新によって実際の生産現場はどのように変わっていくのでしょうか?まず設計はゼロから行うわけではなく、ある程度は元になる情報をインターネット上から取得してから行うようになるので設計期間が短縮できます。そして試作品は3Dプリンタでさくっと出力することで、職人さんは、本当に熟練工でないとつとまらない研磨やミクロン単位での調整に集中することができます。集中することで精度も上がりますし、納期も短縮できます。高精度で短納期の試作品があれば、それを使いたい納品先も増えることでしょう。このように、最新の生産技術は生産現場において革命を起こす可能性を持っているのです(3Dプリンタは、量産は苦手なので設計~試作において特に力を発揮するでしょう)。

ドイツではインダストリー4.0といって、生産工程のデジタル化・自動化・バーチャル化のレベルを現在よりも大幅に高めることにより、コストの極小化を目指す動きを国手動で行っています。ドイツの電子機器メーカーや自動車メーカー、IT・通信企業は、「スマート工場」すなわち『自ら考える工場』の実現に必死で取り組んでいます。日本もモノづくりの技術を活かしつつ、このような取り組みを進めて世界で勝ちうる力を身に着けていかなければならないでしょう。

最後に、インターネットとモノづくりの関わりをとてもわかりやすく示した動画がありますのでぜひご覧いただき、皆様の事業に生かしてみてはいかがでしょうか。

 

コストの極小化には、ウランバによる販売管理が有効です。ぜひ、導入を検討してみてくださいませ。

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執筆者:取材の学校 ライター 中小企業診断士 堀江 賢一

1977年生まれ。福岡県育ち。九州大学大学院理学府修了。中小企業診断士、ファイナンシャルプランナー(AFP)。

大手電機メーカーにてグローバルSCMプロジェクトやインターネットコンテンツ配信システムの販売、事業部改革プロジェクトなどに携わる。システム開発、販売、組織改革と、企業組織活動のあらゆる面を経験。その後コンサルティング企業を経て、現在はインターネット企業で、クラウドの事業戦略やマーケティング戦略の立案と実行に尽力している。戦略と実行計画の立案、プロジェクト推進が得意。

趣味はアカペラとテニス。友人と5人でアカペラユニットを組んでおり、結婚式などで歌を披露している。全日本テニスランキング保持者。