みなさんは、『サブスクリプションビジネス』という言葉を聞いたことがありますか？
「聞いたこと無い！」という方も、実は日々の生活の中で『サブスクリプションビジネス』に触れている可能性が高いです。
例えば、Apple music、LINE MUSIC、NETFLIX、AWA、Google Pay Music、Amazonプライムビデオなどの音楽ストリーミングサービスや動画配信サービスを利用している方は多いのではないでしょうか。
『サブスクリプションビジネス』とは、「モノ」の売買ではなく特定期間内の「利用」に対して代金を支払う方式のビジネスのことです。元々は、主にソフトウェアの利用形態の一つとして取り入れられてきました。
近年、サブスクリプションビジネスはITのみならず、消費財や流通、ヘルスケア、教育、メディアなど様々な業種に派生しています。その理由は「顧客の視点」と「企業の視点」からそれぞれ述べることができます。
所有から利用の時代。ビジネスモデルの変革へ。
顧客の視点ではニーズが『所有から利用へ』とシフトしていること、企業の視点では「モノ」が売れない時代を迎えて、ビジネスモデルの変革が急務であることです。
100年前は大量生産の時代でした。「プロダクト販売」を中心としたビジネスモデルが主流で、これが20世紀の成長を支えてきました。ところが21世紀に入り、この「プロダクト販売」モデルによる成長が限界に達し、今後の成長のためには新たなビジネスモデルへの変革が必要となりました。実際に、2000年のFortune500（※）の企業の52%は買収・統合などによって既に消えています。大企業でも企業の成長・存続がいかに難しいかが分かると思います。（※フォーチュン誌が年1回編集・発行するリストの1つ。全米上位500社がその総収入に基づきランキングされる）
このようにサブスクリプションビジネスに乗り換えをしようとする動きは活発です。しかし、このビジネスの潮流に乗ることはそう簡単ではありません。サブスクリプションビジネスは一度契約すると、ストック型の収益を安定的に確保できる「美味しい」ビジネスであると言われていますが、それは継続したサービスの提供が大前提です。顧客側からいつでも解約出来るビジネスモデルでもあるので、企業は顧客にいかに長い期間サービスを利用し続けてもらうかが、成功の分かれ道になります。
サブスクリプションビジネスを成功させる３つの鍵
したがって、サブスクリプションビジネスを成功させる鍵は、１．顧客との関係性強化、２．プライシング、３．課金・請求管理です。
１．顧客との関係性強化
サブスクリプションビジネスは、いつ解約されるかわからないビジネスモデルです。したがって、サービスの提供やその後のプロセスを含めて、顧客との信頼関係を築いていくことが求められます。
２．プライシング
サブスクリプションビジネスでは新規顧客獲得のために、フリートライアル（無料体験）を準備することや顧客のニーズに合わせて複数のプライシングを用意することで、入りやすい入口をつくる工夫が必要となります。また、顧客のニーズに合わせて柔軟な料金体型を用意して、納得感のある料金を徴収し、顧客満足度を高めることが必要です。
多くのサブスクリプションビジネス事業者が、毎月の顧客の利用料に応じて請求金額を変動させる従量課金制をとっており、従量課金のパターンは多岐に渡ります。
顧客の細かいニーズに答えられる料金プランをどれくらい用意できるか、他社に先駆けて顧客にお得感を与える料金プランを設定できるかが、ポイントです。例えば、「来月はあまりサービスを使わないので、別のプランに変えておこう」などユーザーの選択肢を増やしておくことが重要となります。
３．課金・請求管理
最後に、どんなに綿密に顧客との関係を築いたとしても、課金・請求はたった１つのミスですべての努力を台無しにしてしまう危険性を孕んでいます。ユーザーは請求金額がたった100円間違っていただけで、事業者に対して大きな不信感を募らせることとなります。
そのため、きちんと顧客ごとの売掛状況を把握し、請求を行うことは、顧客と継続的に付き合うサブスクリプションビジネスにとって最低限守らなければならない前提とされています。
サブスクリプションビジネスでその安定した収益を確保するには顧客満足度を高めるためのありとあらゆる努力を積み重ねていかなければならないことがお分かりいただけたでしょうか。
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執筆者：取材の学校 ライター 中小企業診断士 木村 清香
大阪生まれ、大阪育ち。メガバンク総合職として、法人営業・企画業務に従事。現在は経営コンサルタントとして独立開業。
好きなものはワイン。今年はワインエキスパート資格の取得を目指します！
