目的から目標を定めて、目標から手段を定める

みなさんの会社では、「目的」と「目標」と「手段」をどのように使い分けて活用されているでしょうか。それぞれの用語は聞き慣れたものですが、「目的と目標の違いって何?」「手段と目的が混在しやすい」といった疑問や問題を抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

 

ここで改めて、各用語の定義を振り返ってみたいと思います。

「目的」とは最終的に辿り着きたい場所や状態であり、抽象的に表現されるものを指します。「目標」とは目的を叶えるためのプロセスとして存在し、具体的な数値として表現されます。「手段」とは目標を達成するために取り組むべき施策を表します。

 

わかりやすくイメージしていただくために、次の例文をご覧ください。

「健康美を目指すために、ラーメンを食べずにヨガ教室に月6回以上通うことで、1年後に体重を5キロ落とす」

 

これは実際に、私が掲げたチャレンジ宣言だったのですが、

・目的=健康美

・目標=1年後に体重を5キロ落とす

・手段=ラーメンを食べずにヨガ教室に月6回以上通う

と置いていることがわかりますでしょうか。

 

この定義をふまえ今回は、目標を管理するための指標(KGI)と、手段を管理するための指標(KPI)について考えてみたいと思います。

#1:KGI=目標の達成度合いを数値化する

KGIとはKey Goal Indicatorsの略であり、「重要目標達成指標」を意味します。これは、目標を達成したと評価できる基準や達成度を具体的な数値として把握するために設定するもので、成果を見える化するための指標です。「売上高1億円」「クレーム発生率80%減」といったものですね。

また、KGIを設定する際には、①目標項目と目標数値をセットで定めること、②目標達成の期限を設けること、の2つを組み込むことがポイントです。

例文のとおり「1年後に体重を5キロ落とす」を目標とした場合であれば、「現在の体重は何キロか」「半年後には何キロ減ったのか」というように、KGIにより目標の達成度合いを見える化することで、成果の管理をしてみましょう。

 

#2:KPI=手段の実行度合いを数値化する

KPIとはKey Performance Indicatorsの略であり、「重要業績評価指標」を意味します。これは、KGIを達成するための手段ごとに、その実行度合いを具体的な数値として把握するために設定するもので、施策の進捗を見える化するための指標です。「訪問件数5件」「クレーム対応研修実施10回」といったものですね。

また、KPIを設定する際には、①「誰が、何を、いつまでに」の具体的なアクションプランを立てること、②KGI(目標)に対して複数のKPI(手段)を持つこと、の2つを組み込むことがポイントです。

例文のとおり「ラーメンを食べずにヨガ教室に月6回以上通う」を手段とした場合であれば、「ラーメンは食べていないか」「今月ヨガには何回通ったか」というように、KPIにより手段の実行度合いを見える化することで、施策の進捗の管理をしてみましょう。

 

#3:KPIとKGIのつながりを検証する

ここで、用語のつながりを整理します。まず、「目的」を叶えるために設定するのが「目標」であり、その達成度合いを管理するための指標が「KGI」です。また、「目標」を達成するために設定するのが「手段」であり、その実行度合いを管理するための指標が「KPI」です。つまり、KPIの達成によってKGIが達成される構図であり、両者には因果関係が存在します。

さて、みなさんが会議の中で報告しているKPIの達成は、本当に目標の達成や目的の実現につながっているでしょうか。目の前の施策をクリアすることだけに気を取られ、「手段の目的化」に陥ってはいませんか。

目標達成の可能性を高め組織の生産性を上げていくためには、「何のための施策なのか」「施策の実行によって期待した効果は得られたか」など、KPIとKGIのつながりを検証し、本来求めるべき成果を管理することで、施策の評価や軌道修正を適切に行っていくことが重要です。

 

ウランバでは、経営者だけでなく、営業や経理スタッフといった様々な立場からみた仕事の管理が可能です。数値を活かして目標の達成度合いや手段の実行度合いを見える化することで販売管理を徹底し、生産性の高い仕事の仕組みをつくっていきましょう。

 

執筆者:取材の学校 ライター 小寺 暁子

1980年生まれ。福井県出身。中小企業診断士。一橋大学社会学部卒業後、ベンチャー企業の福利厚生代行会社に入社。業務設計やオペレーション業務に携わった後、2007年に経営企画室へ異動し、現在に至る。IR、予算策定といった会社の管理・調整業務を行うとともに、BPRや働き方改革推進のプロジェクト運営にも参画。大事にしていることは「ご縁と共感」。趣味は、年1回の海外一人旅と盆正月の福井帰省。