自社の商品を売るために効果的なプロモーションをしたい。商品やサービスを提供している誰もが望むことですね。販売促進や広告、時にはパブリシティなどを有効に活用していくために、消費者が品物を購買するときのパターンについて考えてみましょう。

#1: 消費者行動モデル

消費者がどのような過程を経て品物を購入し、その後どのような行動をとるのかをモデル化したものとして、消費者行動モデルという考え方があります。

 

一番単純なのがAIDAモデルで、

Attention(注目) ⇒ Interest(興味) ⇒ Desire(欲求) ⇒ Action(行動)

といった一連の行動の頭文字をとってこう呼ばれています。

店舗に陳列された品物を見て、興味を持ち手に取る。欲しいな、と認知したらその場で購入する。といったパターンです。手に取った際に販売員による説明が入る場合もあるかもしれません。店舗における食料品や雑貨などの日用品の買い物や、衣料品の買い物などがこれに当てはまります。

 

次に、AIDMAモデルを挙げます。これはAIDAモデルの途中にMemory(記憶)という過程が入ります。

Attention(注目) ⇒ Interest(興味) ⇒ Desire(欲求) ⇒ Memory(記憶) ⇒ Action(行動)

TVCMや新聞広告、雑誌などを見てある品物に興味を持ち、欲しいな、と認知してその品物を記憶しておく。後から店舗などでその品物を購入する。というパターンです。電化製品や子供向け玩具、食料品、あるいは外食サービスなど、様々なものがこれに当てはまりますね。

 

そして、次に挙げるAISASモデルはインターネット時代の購買行動を表すモデルです。

Attention(注目) ⇒ Interest(興味) ⇒ Search(探索) ⇒ Action(行動) ⇒ Share(共有)

ある品物を発見して興味を持つ過程は、店舗や広告、ECサイトなど様々なきっかけがあります。興味を持った品物について、インターネットで検索し、メーカーのホームページや実際に使った人のレビューページ、口コミサイトなどで情報を得てから購入します。そして、購入後は自らも口コミサイトに投稿したり、SNSに投稿したりして、情報を共有します。

 

時代の変化によって、消費者が触れる情報や購買方法の幅は広がりを見せ、消費者行動についても次々と新たなモデルが提唱されています。しかしながら、現代においてもほとんどの購買行動は上に挙げた3つが基本として当てはまるといっても差し支えないでしょう。

 

ある品物がどういったパターンを経て購買されるかは、その品物の特性によって異なります。つまり、消費者にとって社会的評価に影響を与えるものなのか、頻繁に購入するものなのか、あるいは他社製品との棲み分けが明確なものなのか、などです。自社の製品がどういった特性をもち、どのモデルに近く当てはまるかを見極め、それにあったプロモーションを考えることでより効果的に購買につなげることができます。

 

#2:消費の外部効果

一方、経済学の用語で「消費の外部効果」というものがあります。これは、消費は私的な要求だけではなく他人の目や他人の行動から影響を受けるといった考え方で、次の3つの現象が有名です。

 

まず1つ目が「バンドワゴン効果」です。これは、皆が手に入れているものは良いものに違いないという心理から、ある物の需要が高まる現象です。テレビや雑誌で話題になったラー油や、街中でキャラクターを入手できるスマホゲームなどの例を挙げると想像しやすいでしょう。

 

2つ目は「スノッブ効果」です。これは先ほどと反対で、皆が持っているものは持ちたくない、他の人と差別化したい、という欲求からくるものです。逆にいうと、皆が持っていないものに魅力を感じることになり、限定品などの希少性のある物の需要が高まります。1日10食限定のラーメンのために朝から並ぶ、限定カラーに人気が集中する、などが良い例です。「先着〇名様限定!」や「残りわずか◯点!」などと提示されると、つい手に入れたくなってしまいますね。

 

そして3つ目が「ヴェブレン効果」です。これは、価格の高いものを手に入れて優越感を感じたいという心理からくるもので、「見せびらかしの消費」や、「顕示的消費」などとも言われます。高級ブランド品に人気が出るのはこの効果からくるものです。価格を下げることが必ずしも得策ではない、ということの説明がつきますね。

 

また、これら3つの他に「デモンストレーション効果」というものがあります。これは、購買行動が身近な他人に影響されるという現象です。同じ会社で働いている人たち、同じ住宅街に住んでいる人たち、同じ幼稚園に通わせているお母さんたち、など同じコミュニティーに属する人たちは、あるカテゴリーの商品の中でも同じような価格帯のものを購入する傾向があります。人間は周りの人の目が気になる生き物なのですね。

 

消費の外部効果に関しても、自社の扱う製品がどういった効果を受ける特性をもつのかを見極めることが求められます。

 

ここまで見てきた消費者の購買パターンを把握し、自社の製品にあった効果的なプロモーションを行うことで売上増加につなげましょう。そして、仕入管理、在庫管理や売上管理などには「ウランバ!!」を活用して効率的な販売管理を行いましょう。

 

執筆者:取材の学校 ライター 荒井由紀子

神奈川県横浜市出身。中小企業診断士。二児の母。早稲田大学理工学研究科修士課程修了後、国内製薬会社に入社。臨床開発モニター、臨床開発プロジェクトマネジメントに携わる。産休・育休取得を経て職場復帰したのち育児に専念するため退職。専業主婦となる。その後次男の幼稚園入園を機に中小企業診断士として独立。現在は会社員時代の経験をベースに、子育てという精神修行の世界に没頭した経験から得られた視点を活かし、セミナーや執筆、経営コンサルティングを行なっている。