資金調達は、創業期、成長初期で1位、安定・拡大期でも4位。2017年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要によると、成長段階ごとの課題として、資金調達が上位にランクインしています。また、白書では「資金調達は事業の成否に影響」と強調されるなど、資金調達は極めて重要なものとなっています。自己資本が十分ある会社であればよいですが、事業形態によっては、投資や在庫・売掛けなどの操業のための資金が必要であり、多くの中小企業は金融機関などから借入れを行っていると思います。

#1:融資をする金融機関の状況はどうでしょうか?

現在、日銀のマイナス金利などによる金融政策のため、国債を保有するだけでは金融機関の収益性は低下してしまいます。そして、2015年9月金融庁から金融機関に対して、金融行政方針が出され、この中で事業性評価の実施が示されており、国による中小企業支援の動きが本格化しています。特に地方では、人口減少により経済が停滞する中、従来の土地を担保にした融資では従来以上に融資を増やすことは限界に近づいています。

つまり、金融機関から見ると、収益性確保と金融庁による指針の観点から、融資をする必要性が一層高まっており、融資を受けたい会社にとって、外部環境は整ってきています。

#2:どのような会社なら金融機関は融資したくなるのでしょうか?

金融機関の融資担当者は、営業成績を上げるために、新規や資金の需要が増加する融資先を探しています。

その融資先の候補となるのは、具体性のある事業計画を作成する会社です。従来の「貸したお金が返ってこないリスクの担保のための土地」に加え、「事業リスクは認識しつつ貸したお金が返ってくる事業計画」の重要性が増してきているからです。あたり前ですが、金融機関からすれば、貸したお金が無事に返ってこなくてはいけませんから。

「会社代表者の事業に対する熱意を具体的な計画として見える化する。そして、毎月資金繰り表を作成する」これにより、金融機関は事業性の評価が可能になり、その進捗を定期的に確認できるようになります。会社代表者に対する金融機関の信頼感も醸成されます。

融資額を増やしたい融資担当者にとって、事業の成長性、収益性や経営状況の理解が進むばかりではなく、金融機関内で状況を説明しやすくなるため、融資担当者本人の業務負担がグッと軽減され、思わず融資先としてオススメしたくなるのです。

#3:事業計画を作成してみましょう!

2016年1月中小企業庁の小規模事業者に対する調査によると、小規模事業者の半数の53%しか事業計画を作成していませんでした。作成するための時間がなかったり、時間のムダと思う経営者の方が多いようです。

「融資担当者の身になって考えてみる。融資担当者に武器を持たせて、会社のサポーターになってもらう」

手間のかかる事業計画を作成するのは、労力と時間を要する一面もありますが、十分なメリットが考えられますので、事業計画を作成する、すでに作成済みの場合は、より磨きあげることをオススメします。

 

事業計画を作成したら、次は実行です。実行したら、定期的に実績をチェックしましょう。販売管理は「ウランバ!!」で。

 

執筆者:木下岳之

中小企業診断士 AFP(日本AP協会認定)

1970年生まれ。大学卒業後、電機や素材メーカーに勤務。経営企画や事業管理に従事。素材・部品から完成品までの製造・販売に関する業務を担当。国内工場や海外駐在などを経験。現在は、事業計画策定・管理、生産関連、販売促進、海外推進分野を中心に、コンサルティングや執筆の活動中。