ロングセラー商品と聞いてどんな商品を思い浮かべますか?
カップヌードル(日清食品株式会社)やポスト・イット(3Mジャパン株式会社)など、身近にあるものが多いですね。ロングセラー商品になると生活の隅々まで浸透しますので、商品にとても愛着を持っている方も多いと思います。まさになくてはならない逸品ですね。
コンビニやスーパーの棚にはとても多くの商品が所狭しと並んでいます。その中で、お客様の目に留まり、手に取って購入していただき、使用して満足してもらう、また購入して使ってみたい、と思わせる商品とはどのようなものでしょうか?
それは、「今はないけど、とてもほしいモノです」。
#1:ロングセラー商品のネタに気づくには?
商品の提供者として、そのようなモノに気づく方法としては、消費動向調査や自ら実施するお客様アンケートを活用することなどがありますが、もう1つご紹介したいのが、ご自身など人の行動と気持ちをよく観察してみることです。
例えば、夏に男性がシャンプーを使用して髪を洗った時、もっとすっきりしたい、とふと感じたとします。この自然の気持ちを見逃さず、どうやったらすっきりするのだろうか、考えてみる。その結果、試行錯誤の末生まれたのが、トニックシャンプーだと言われています。(参考文献:「30年売れて儲かるロングセラーを意図してつくる仕組み」 梅澤伸嘉 著)
ある場面の行動の前後で「こうしたい、こうだったらよいのに」と思ったものが欲求もしくは不満であり、とてもほしいモノのネタになります。欲求には、生理的なものや社会的、自己実現的なものなどたくさんあります。例えば、健康を維持したい、快適にしたい、交流したい、認められたい、向上したいなどです。欲求の裏返しの不満にしても、疲れ、眠気、暑さ、不安、葛藤、不便、重さなどいろいろです。その欲求や不満に気づき、どのような商品があるとうれしいのか、素直に想像してみましょう。
#2:ロングセラー商品の効果
ロングセラー商品になれば、通常商品と比べて、他社商品との競合や商品の入れ替えがぐっと少なくなるため、販売価格低下や在庫処分のリスク、新商品の開発コストなど、多くのムダを省けます。また、中長期的に売上に貢献するとともに、社員の皆さんの大きな自信につながる効果もあります。
ロングセラー商品を開発するために、必ずしも多くの時間とコストをかけなければいけないわけではないこと、がおわかりいただけたでしょうか?1人の消費者として、生活の中で、自身の行動や気持ちを振り返ったり、ご家族や友人の声にそっと耳を傾けるなどアンテナを高くしてみると、思わぬ気づきがあるかもしれませんね。
新商品を企画したら、次は販売です。クラウドに保管した販売データを活用して、お客様の購買行動を分析し、売れている商品やいま一歩の商品を定量的に把握する。販売実績から商品の動向をレビューするのは、商品企画にとってもとても大切ですね。定期的に実績をチェックしましょう。販売管理は「ウランバ!!」で。
執筆者:取材の匠 ライター 木下岳之
中小企業診断士 AFP(日本AP協会認定)
1970年生まれ。大学卒業後、電機や素材メーカーに勤務。経営企画や事業管理に従事。素材・部品から完成品までの製造・販売に関する業務を担当。国内工場や海外駐在などを経験。現在は、事業計画策定・管理、生産関連、販売促進、海外推進分野を中心に、コンサルティングや執筆の活動中。