最近、IT業界で話題の「RPA」という言葉を聞いたことがありますか?
RPAとは、Robotic Process Automationの略で、人に代わってコンピュータ操作を自動実行するソフトウェアやその仕組みを指します。人と同じように、仮想的な目と手を持ち、PC画面を見ながら、キーボード、マウスを操作してくれます。
RPAには、複数PCが連携する大規模な業務の自動化から、個人PCを対象とする小規模の自動化まで様々ありますが、ここでは、小規模の個人PC上の自動化についてご紹介いたします。
従来から、自動化と言えばEXCELマクロが良く知られていますが、基本的にEXCEL上の操作だけが対象になります。
一方、RPAはPC上で複数のソフトにまたがった作業の流れを自動化できるのが特長です。自動化により、業務のスピードアップ、人の負荷軽減、残業時間削減が期待できます。さらにRPAは24時間、ミス無く働き続けられます。
では、PC上のあらゆる作業が自動化できるのか? というと、そうではありません。
これからRPAで、できること、できないこと、を確認していきましょう。
#1: RPAで、できること(メリット)
RPAが得意な作業は、以下の3つのポイントを満たしたものです。
(1) PC上の操作
(2) 機械的な作業で、個別の判断を必要としない
(3) 作業量が多い
RPAは、PC上のデータを使い、予め定義(プログラミング)された手順に沿って、操作を進めていきます。例えば、名簿リストから1件ずつ情報をコピペして、メールを発信するなど。画面上でデータをコピペして、ボタンを順に押していけば完了するような単純作業が得意です。
単純作業でも、作業量が多いもの。何万件もある作業を、黙々と処理してくれます。
また、短納期化も期待できます。例えば、納期に追われる集計作業では、確実に納期を守りながら、作業者の心理的負担を軽減し、残業時間削減も可能です。さらに、高頻度でリアルタイムに近い集計が可能になり、業務の質向上にもつながります。
#2: RPAで、できないこと(注意点)
RPAは、PC上にないデータを扱うことができません。
例えば紙資料から情報を読み取る作業。別途、OCRソフトと連携すれば可能ですが、OCRの性能に左右されることに注意が必要です。
また、ケースバイケースの判断、上司に確認が必要など、人にしか判断できない部分は、RPAで自動化できません。現状の作業から、自動化する部分を切り出す必要があります。
このように、現状の作業の流れそのままでは、RPAで自動化できない場合があります。そのため、RPA導入にあたって、作業の棚卸し、整理が重要です。本当に必要な作業か? 判断に必要な情報は? など1つずつ見極め、整理して、場合によっては作業の順番を入れ替えます。
人が行う作業と、自動化する部分を分けて考え、人とRPAがデータを介して協調作業できるようにすることが、RPA導入のツボと言えるでしょう。
従来、出来そうで出来なかったPC操作の自動化。ついにRPAで自動化できる時代になってきました。自動化により、人の時間的余裕ができ、より付加価値の高い業務にシフトすることもできます。
RPAソフトはまだ高価で、導入が躊躇される場合もありますが、ソフトは日進月歩で進化しています。最新動向にも目を向けて、みなさんの周りで自動化できる部分がないか、検討してみてはいかがでしょうか?
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執筆者:取材の匠 ライター 川原茂樹
中小企業診断士
広島県出身。IT企業で半導体、ネットワークなど様々な技術分野の開発、商品企画・マーケティング、アライアンス、知財などに従事。現在は業務分析、業務改革支援などのコンサルティング業務に従事している。
趣味は、複数の公共図書館を活用して多読すること。“図書館マニア”でもある。