景気の拡大により、人員増強で現在のオフィスが手狭となり、移転を計画する(している)会社も多いことと思います。ちょっと待ってください!オフィス移転を業者任せにしていませんか?移転は、会社を変える千載一遇のチャンスなのです。移転と人材育成?組織力強化?業務改善?どれも一見関係ないようですが、実はオフィス移転と一緒にこれらができてしまうのです。

#1:移転と人材育成

まずは、「人材育成」からです。移転を決定したら、総務などの管理部門に任せるのではなく、社内横断のプロジェクトチームを立ち上げましょう。チームは、各部署の代表として若手を中心に組織しましょう。プロジェクトリーダーもできたら若手に一任し、経営層はアドバイザーとして、意思決定など重要なところにのみ関与しましょう。

代表の若手社員が部署の改善要望などをヒアリングしたり、取りまとめを行ったりします。こうした作業過程の中で、自然と若手社員のコミュニケーションや意見集約、上層部へのプレゼンテーションのスキル向上を図ります。

#2:移転と組織力強化

次に「組織力強化」です。移転の時に考える各部署の配置場所で、多くの場合、今のままの配置を踏襲するようです。ここで、各部署の関係強度をもう一度考えてみましょう。A部署とB部署の関係性が強いにも関わらず、配置が遠くなっていませんか?社員が歩く歩数(=時間)が短くなれば、生産性も高まります。また、近くの部署の仕事を間近にみることで、互いの業務についても理解は深まるものです。

工場のレイアウト計画にも用いられる「相互連関図」などを使って、各部署の関係性を確認するのも一つの方法です。場合によっては、組織図そのものを見直すことが必要になることもありますが、移転をきっかけにしたいい提案として検討を加えましょう。

#3:移転と業務改善

次に「業務改善」です。レイアウトを検討するにあたり、会議室・文書保管のスペースの話題が上ります。

会議室について、現在の利用状況を確認した後は、その会議が本当に必要な会議か、必要以上の人が参加していないか、余計な時間がかかっていないか(かかっているとしたら減らすことはできないか)、プロジェクトチームが検討し、適切なスペースを決定しましょう。

また、キャビネットも多くの場合、必要以上の書類やものが収納されているものです。各キャビネットの管理部署を定めて、移転を機に削減目標をたてましょう。そのためには、現在の利用状況をチェックし、「ファイルメーター」という書類の分量を計測します。一人当たりの文書量を部署別に比較評価するなどして、適正な分量を定めましょう。キャビネットのスペースにも、家賃を払っているのです。

こうして新しいオフィスで元気になった社員は、たくさんの売上と利益を上げてくれることでしょう。これらは、「生産性向上」にも役立ちます。生産性向上にも役立つ販売管理は「ウランバ!!」で。

執筆者:取材の匠 ライター 屋代勝幸

中小企業診断士 第一種衛生管理者 会社の健康研究所代表コンサルタント

千葉県出身 1967年生まれ 東京都葛飾区在住

大学卒業後、食品・機械部品・外資系消費財メーカーに勤務。営業・営業企画・広報・宣伝・商品企画・調達・人事・総務の各部署を経験。組織力向上、業務プロセス改善、ファシリティ管理、購買管理を得意とする。ミラサポ専門家。東京都中小企業診断士協会 城東支部地域支援部で活動中。