女性活躍推進法は、正しくは「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。「職業生活における」、と記載があるように、基本的には働き方や、職場環境の整備をすすめるための法律です。

 

ですが、女性だけに活躍推進の機会が与えられるのは不公平だ、と考える男性もいるかもしれませんね。

 

#1:なぜ「女性」だけ?

 

なぜ国・政府は女性の活躍を推進しているのでしょうか。

 

その理由は、労働力不足にあります。

少子高齢化を受けて、日本では企業での人材不足が深刻な問題となっています。業界・規模を問わずどの企業も積極的な人材採用・確保を進めています。

皆さんの会社でも「誰かいい人いない?」という話をされているかもしれませんね。

 

また、厚生労働省の労働力調査によると、2018年2月の完全失業率は2.5%と大変低く、働ける人はすでに社会に出ている状態といえます。

今後、企業が新たに人材を獲得するためには、何らかの事情で働くことができていない人に、事情を解決して働いてもらうことが必要になるのです。

 

働くことができていない事情は病気、家庭の事情、地理的な要因など人それぞれです。その中で、特に再就職が期待できるのは、結婚や出産を機に家庭に入った女性です。

企業が労働時間や勤務形態などの就労環境を整備すれば、家庭との両立を求める女性も仕事をすることができるようになるかもしれません。

就労環境は女性のためだけに整備するのではありません。現在就業中の労働者にとっても、よりよい環境づくりは重要です。もし今後なんらかの事情が発生したとしても、退職することなく、更なる成長意欲をもって働き続けてもらえます。

 

企業が優秀な人材を確保し、労働者にやりがいもって働いてもらうためには、女性活躍推進に取り組むことが有効だといえるのです。

 

 

#2:まずは自社の課題を見つけましょう

 

では、女性活躍推進のためには何をしたら良いのでしょうか

具体的には下記項目に取り組むことが必要になります。

 

①新規採用者に占める女性の割合、男女の平均勤続年数の差、管理職に占める女性労働者の割合などを把握し、課題を分析。

②課題に基づき目標を1つ以上設定し、その目標を達成するための具体的な取組内容を決定。行動計画として取りまとめ、外部に公表。

③ 行動計画の策定を都道府県労働局へ届け出。

④ 定期的に、目標の達成状況や、行動計画に基づく取組の実施状況を点検・評価。

 

これらの取組みは、労働者の数が301人以上の事業主に対しては、実施が義務づけられています。

労働者数が300人以下の事業主に対しては、現時点では努力義務とされていますが、将来的には実施が義務化となる可能性が高いです。それぞれの組織課題に応じ、今のうちにできるところから取り組んでいきましょう。

 

「興味はあるけど難しそう…」と思われる方も多いと思います。

その場合は、女性活躍推進の専門家である「女性活躍推進アドバイザー」による支援を受けることもできます。支援は無料で受けられるため、費用負担なく改善に取り組むことが可能です。

そのほかの費用補助として、「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」も活用できます。

 

 

#3:認定制度「えるぼし」のメリット

 

女性の活躍推進に関する状況が優良な企業には、認定制度も設けられています。

下記①~⑤の基準のうち、1つ以上をクリアし、その実績を厚生労働省のウェブサイトに公表することで、「えるぼし」という認定を受けることができます。

 

①男女別の採用における競争倍率が同程度であること

②平均継続勤務年数または約10年前の新卒入社者の在籍率において、継続就業の状態が男女同程度であること

③法定時間外労働と法定休日労働時間の合計時間数の平均が、直近事業年度のすべての月で45時間未満であること

④管理職比率について、下記のいずれかに当てはまること

・管理職に占める女性労働者の割合が産業ごとの平均値以上であること

・直近3事業年度において、課長級より1つ下位の職階にある労働者のうち、課長級に昇進した労働者が男女同程度であること

⑤女性の正社員登用やおおむね30歳以上の女性の正社員雇用など4項目のうち、1項目(大企業は2項目)以上の実績があること

 

えるぼし認定を受けた事業主には公共調達での優遇措置や、日本政策金融公庫の低利融資制度があり、経営面でもメリットがあります。

 

また、えるぼし認定マークは広告や名刺などに印刷してPRすることができ、優秀な人材の確保や企業イメージの向上につなげることができます。厚生労働省のWebサイトにも掲載されるため、転職企業がえるぼし認定を受けていれば、求職者の応募意欲も高まるかもしれませんね。

 

販売管理システム「ウランバ!!」の導入は、業務効率化につながり、残業時間短縮が期待できます。

まずは一つ目の基準クリア、目指してみましょう。

 

 

 

執筆者:取材の匠 ライター 浅葉名津美

中小企業診断士 産業カウンセラー キャリアコンサルタント

新卒で教育機関に入社後、民間企業での人材育成・採用、公的機関でのキャリア・採用支援、大学でのキャリアコンサルタント業務などを経て独立開業。

採用支援を中心とした人事労務領域を専門とするほか、人材不足をカバーするためのIT利活用も得意とする。