様々なメディアでAI(人工知能)が時代を表すキーワードのように目に留まるようになってきました。大企業も、AIをどれだけ、何に活用しているかを発信することで、先進性を消費者に伝えようとしています。最近では、自動運転やテニスの試合を編集して放送するなど、AIが生活の中に浸透し始めていることがわかります。AIは大量データを分析することが得意です。そこから得られた情報で近い未来を予測します。良質の情報を大量にAIに分析させれば、経営をサポートできそうです。もしかすると、もう始まっているかもしれません。そこで、今回はAIが経営をサポートするという点で考えてみたいと思います。

#1:そもそも“AI”とは?

仕組としては難しい統計学やコンピューターの演算で行われていますが、使う側からすれば、AIが得意なことと不得意なことを理解していれば十分です。人工知能といわれるぐらいなので、知能を持っているように見えるコンピューターが動いているという認識で不足はありません。特徴としては、学習して賢くなっていくというところでしょう。ただし、誰かがAIに教えてあげないといけません。何もないところからAIが自分で学習して成長することはありません。そのため、学習するための素材と、結果を教えてあげる必要があります。

#2:AIには2種類ある!!

AIには大きくわけて、「特化型」と「汎用型」があります。「特化型」は、一つの機能に特化しています。例えば、囲碁のAIがあります。近年、プロ棋士にも勝ったとニュースになっていました。人間の囲碁のプロによる教師あり学習を行うだけではなく、囲碁のAI同士(自分対自分)による強化学習を行うことで囲碁の学習が進みました。一方、「汎用型」はいろいろなことが汎用的にできると言えばいいでしょうか。その分人間の考え方に近くなるため、実現も難しくなります。今のところ「汎用型」は出てきていません。

#3:特化型のAIの仕組みについて

特化型についてもう少し詳しく仕組みをみてみます。Deep Learning(深層学習)をご存じでしょうか? 特化型のAIは、特定分野についての情報を深く集めて分析します。それを深層学習といいます。例えば、犬を判断したいときには、犬の画像を沢山AIに見せて、犬であることを教え込みます。AIは犬の特徴を自分で解析してパターンとして記憶します。見たことのない写真でもパターンに合えば、犬と判断できるわけです。ルールやパターン、法則などを自分で学びます。その法則にしたがえば、違う犬でも、犬だろうと結論を出すことができるのです。あくまでも知っているパターンから、一番似たものを結論として出しています。

#4:AIが経営の提案はできるのか

今までのAIの特徴を見ると、人に代わって経営判断するのは難しいと感じます。なぜなら幅広い情報が必要なため、「汎用型」の部類になるからです。現実社会の市場環境、自社の経営資源、競合の状況を数値化することは困難です。また、例えば、競合が突然セールを仕掛けてくるケースもあるでしょう。かといって、AIが役に立たないというわけではありません。過去のデータから類推できる次の一手を予測させて、判断材料の一つにすれば経営判断する際の参考に使えるのではないでしょうか。

#5:AIが経営をサポートする

AIは、過去の情報を分析することは得意です。経営判断に使うグラフや数値の分析を任せるとか、財務分析をさせるのには適しているでしょう。AIの強みを活かして数値を分析させて、その結果に人間がフィードバックすれば、AIも学習して提案のレベルも高くなる可能性があります。また、自社環境であれば、数値化できるものも多いと思います。実際に、会社の業務別にAIを活用したコンサルティングを行っている大手企業もでてきています。

#6:まとめ

AIは万能ではありません。しかし、個別の分野では人を凌駕する力を発揮しています。私たちは、AIが得意とすることと苦手とすることを十分理解して、活用する場面を選ぶ必要があります。人事で言う、適材適所に近い考え方だと思います。経営全般を判断する場面では汎用性が高く、現時点のAIでは経営判断は困難です。しかし、経営をサポートするための分析や情報提供という面では、AIを使うことが可能になっています。近い将来には、人が長い時間をかけて経営資料を作る場面から解放され、経営者や幹部は経営戦略を考えることに集中できる日がやってきます。是非今後もウランバからのAIの情報を楽しみに見ていてください。

執筆者:取材の匠 ライター 加藤 智康

中小企業診断士、システム監査技術者

製造業にて社内システム開発・運用に従事。2018年に中小企業診断士として登録。社内業務改善や新しい情報技術の導入への挑戦など、企業内で活動中。

ITだけを見た提案でなく、会社のビジョンに沿った活用を提案を心がけている。