「新卒が採れない!」「せっかく苦労して採った中途入社者が退職してしまう…」経営者の方々はこのような人手不足の悩みを抱えていらっしゃるのではないかと思います。
2018年3月時点の有効求人倍率(有効求職者数に対する有効求人数)は1.62倍、しかも全都道府県で1倍超の「売り手市場」で代わりの方を採用しにくい状況にあります。

#1:中途入社者はなぜ定着しにくいのか?

人手不足を解消するために中途入社者を採用しますが、なぜ中途入社者は定着しないケースが多いのか。それは、中途入社者が抱える悩みや不安を転職先の会社(またはその経営者・上司等)が把握し、サポートし切れていないことにも原因があります。
中途入社者はどんなにスキルの高い人であっても、転職したての頃は強い不安と重圧を抱えています。私自身、2回の転職経験がありますが、「働いていけるだろうか」「適応できるだろうか」と不安が少なからずあり、特に入社前日は更にそれらを強く感じたことを覚えています。

#2:中途入社者は何に悩むのか?

では、中途入社者は具体的にはどのような悩みを抱えているのか。大きく分けて、3つのステージが存在します。

①入社直後:会社文化や組織風土に戸惑う。

中途入社者は、前職の会社文化や組織風土に適応してきたため、必然的に転職先と前職を比較することになります。
「朝礼がある」「成果が給料に大きく反映される」等、転職先では当たり前でも中途入社者にとっては戸惑いを感じる要素になります。例えば、上司の呼び方にしても、前職だと「〇〇さん」と呼んでいたのに対し、転職先では「〇〇部長」と呼ぶ。それだけでも驚きを感じてしまいます。
心を許せる方がいない、慣れない環境の中で、すぐに適応し、仕事の結果を出さなければならない。中途入社者は入社直後にこのような「孤独感」を感じているのです。

②入社3ヶ月後~:仕事のやり方や進め方に戸惑う

会社文化や組織風土には徐々に慣れてきた入社3ヶ月後あたりから、今度は転職先での仕事のやり方・進め方に戸惑いを感じ始めます。
会社には、社内でしか使われない独自用語が存在する場合が多いです。社歴の長い社員にとっては当たり前でも、中途入社者にとっては初めて聞く言葉で、意味を理解する必要が生じます。
また、前職と同じ職種、例えば営業の場合でも、顧客の業種や商品、社内で使われるシステム等が異なるため、それに慣れなければなりません。
仕事のやり方・進め方に戸惑いを感じている間は、結果を出せずに苦しむ可能性が高いです。結果を期待されて入社している中途入社者は、この時期から「焦燥感」を持ち始めます。

③入社半年後~:将来のキャリアに悩み始める

会社文化や組織風土、仕事のやり方や進め方への戸惑いや孤独感・焦燥感を解消できないままだと、入社半年を超えた頃から「今の仕事が将来につながる感じがしない」「成長の実感がない」との将来への不安と現状への不満が生じ始めます。
中途入社者は転職を選択する時点で成長意欲の高い方が多いです。なりたい自分と現実の自分の間にギャップを感じたとき、「この会社を出た方が良いのではないか」と思う方もいます。
この状況が続くと、短期間で転職先を退職してしまうケースも生じます。

#3:中途入社者の立ち上げをスムーズにするには?

中途入社者の孤独感や焦燥感、不安を解決し、立ち上げをスムーズにするためには、入社直後の対応がカギになります。
中途入社者が自己開示するには、「心理的安全性」の高い職場環境が不可欠です。心理的安全性とは、「組織の中で、メンバーが自分の考えや感情を安心して発信できる状態」をいいます。
社長や上司の方は、中途入社者に向き合い、その方の経験や人生観、人柄を理解し、受け入れる必要があります。
そのため、まずは心理的安全性の高い職場づくりを日頃より心掛けなければなりません。いわゆる「飲みニケーション」に限らず、社員との会話の機会を常に持ち続けることが大切です。

また、中途入社者が「自己効力感」を持てるかどうかも、スムーズな立ち上げに左右します。中途入社者は、前職での経験や高いスキルが評価されて転職しています。
前職への経験やスキルを発揮しやすい仕事を提供する、または社内勉強会等の場で経験やスキルを伝授する場を作ることによって、中途入社者が「新しい環境で働けている」「役に立てている」と実感が持てるようになります。

以上、地道な取り組みですが、中途入社者の悩みを知り、向き合っていくことが中途入社者の立ち上げをスムーズにし、定着率を高めることにつながります。
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執筆者:取材の匠 ライター 水戸脩平

1984年兵庫県生まれ。中小企業診断士。

新卒で金融機関に入社し、経営分析・コンサルティングに約3年従事後、ITメーカーに転職。管理会計・法人営業を計8年経験。現在は大手広告会社にて、組織開発を中心に事業企画・管理業務に従事。

2013年に中小企業診断士に合格・登録し、受験指導や宮城県気仙沼市の街バルイベント「気仙沼バル」の企画サポート、飲食業を中心とした経営支援等に携わっている。著書(共著)として、「企業内診断士、被災地での挑戦」(同友館)を2014年8月に出版。

日商簿記2級や経理現場での経験から、管理会計に強く、メンタルヘルスや人材育成等の組織活性化にも知見を持つ。中小企業診断士としての知識に加え、営業・間接部門の双方の経験を活かしたバランスの良い、顧客の現状に合った提言・提案を心掛けている。