市場が成熟し、ニーズの多様化が進む日本。売上が傾き、「既存のビジネスモデルが通用しなくなった」と危機感を抱く経営者も少なくないかもしれません。開業後、10年以上生存する国内企業の割合は約1割未満といわれ、10社中約9社は10年以内に廃業するという厳しい現実があります。
競争が激しい市場の中でも長寿企業として成長していくためには、自社のビジネスモデルを時代に合わせて変えていく必要があります。しかし、突然ビジネスモデルといっても目に見えないものですから、ピンとこない・難しく感じる方も多いかも知れません。
今回のコラムでは、ビジネスモデルを可視化して検討するツールの1つとして、「ビジネスモデルキャンバス」についてご紹介いたします。
#1:ビジネスモデルキャンバスとは「ビジネスモデルを可視化する為のフレームワーク」
ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネス全体像を可視化するためのフレームワークです。日本では、2012年に「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書」(アレックス・オスターワルダー、 イヴ・ピニュール著)という本で紹介されました。
目に見えないビジネスモデルを可視化することで、足りない部分・必要となってくるリソース「ヒト・モノ・カネ・情報」を把握できるメリットがあります。では、具体的にビジネスモデルキャンバスの中身を見ていきましょう。
ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスに相互する要素を9つに分解して検討していきます。
(1)顧客セグメント、客層
顧客とは、組織が作り出す価値を提供する相手です。顧客となりえるのは個人・法人・公共団体などさまざま。ビジネスモデルを構築するためには、まず顧客となるターゲットを明確にしていきましょう。
(2)価値提案
価値提供とは、サービスや商品等顧客に与えるベネフィットのことです。
自社を選んでもらうためには、他社には無い特別なベネフィットを提供する必要があります。ベネフィットとなる要素の一部をご紹介いたします。
①利便性
時間の節約・面倒な手間を減らす価値を提供
②価格
同じサービス内容の中で、より価格を安く提供
③デザイン
顧客に、「持ちたい」と思われるデザインにした商品やサービスを提供
④コスト削減
販売管理など、組織のコスト削減を担うための商品やサービスを提供
⑤リスク低減
顧客が抱えるリスクの低減を図るための商品やサービスを提供
(3)チャネル
チャネルとは、製品やサービスを消費者まで届ける流通経路のことを意味します。
典型的なチャネルは、対面・電話・配送・インターネット・マスメディアなどさまざまです。
(4)顧客との関係
顧客と、どのようなかたちで接しているか(店舗の窓口対応・自動化されたウェブ取引など)明確にする必要があります。また、取引の形態(売り切り・継続取引)も把握しておきましょう。
(5)収益の流れ
顧客は何に対して、どのような支払いをするのか明確にする必要があります。
製品の売切り・リース販売・ライセンス料・定期購読などがあります。今話題となっている、サブスクリプションモデルも該当します。
(6)リソース
ビジネスを実現するために必要なリソースを把握する必要があります。リソースは大きく4つに分類されます。
①ヒト
組織を運営する上で必要な人材と人数
②モノ
土地・建物・機械・設備・システムなど、組織を運営する上で必要なモノ
③カネ
組織の運営に必要な資金
④情報
組織運営に必要な、情報・知的財産・ブランドなどの情報資産
(7)主要活動
主要活動とは、ビジネスモデルが機能するために組織が取り組まなければならない活動の事です。
(8)パートナー
パートナーとは、ビジネスモデルを実現するための協力会社などが該当します。
(9)コスト構造
(1)~(8)を実現した際に生じるコストを把握します。収益面でビジネスを継続できるかを把握するための部分になります。
#2:ビジネスモデルキャンバスの作り方
ビジネスモデルキャンバスの作り方についてご説明をします。ビジネスモデルキャンバス作成は大きく2ステップ。
①ビジネスモデルキャンバスフレームワークをプリントアウト・または、紙に描いてみましょう。
②自社の現状・新たなビジネスモデル構想を照らし合わせながら、付箋を使って9つの領域にキーワードを埋めていきます。
付箋を利用することによって、後からキーワードを別の領域に動かすこともできますので推奨しています。
一例として、コンビ二エンスストアのビジネスモデルをご紹介します。是非参考にしてください。
最後に
ウランバの顧客管理、営業支援機能を活用することで、コスト構造や収益の流れをデータで見る事ができます。ビジネスモデルキャンパスを見直すツールとしても、役立つウランバを是非代活用ください。
執筆者:取材の匠 ライター 内田 喬也
中小企業診断士
現在会計事務所に所属し、経営コンサルタントとして中小企業を支援している。かつては中小の印刷会社に勤務し、品質管理・ISO事務局・工場長など、製造現場を経験する。現在は、製造で培ってきた知識を活かした、ものづくり支援・組織運営支援などを提供している。