皆さん、「人脈」という言葉にはどのような印象をお持ちでしょうか。「人脈」を作るために異業種交流会などのイベントに参加をしたことがある人も多いのではないでしょうか。また、インターネットショッピングのAmazonで「人脈」を検索すると、実に様々な書籍が出版されていることから、「人脈」に対する世間の関心の高さが伺えます。
近年はSNSの発達により多くの人と繋がることができるようになりました。しかしながら、本当にビジネスに役立つ「人脈」を作るのは難しいと感じる方も多いのではないでしょうか。ビジネスに役立つ「人脈」の作り方を考えていきたいと思います。
#1:広いようで世間は狭い スモールワールド現象
「スモールワールド現象」という言葉をご存知でしょうか。「スモールワールド現象」というのは知り合いを芋づる式にたどれば簡単に世界中の誰にでも行き着くという仮説です。社会心理学者スタンレー・ミルグラムは、アメリカのネブラスカ州オマハに住むランダムに選んだ160人の住人から、ファーストネームを知っている友人知人を通じて1,300マイル以上離れたボストンの株式仲介人まで手紙を転送するという実験を行いました。その結果、株式仲介人まで平均5名の仲介者で転送されたことがわかり、「6次の隔たり」と呼ばれて注目を集めました。効率的にネットワークを活用すれば多くの人と繋がれる可能性があるのです。
#2:人的ネットワークのハブと繋がる
人の集合体には高い確率で、豊かな情報源を持ち、様々な人々の結節点となる機能を果たす人(ハブ)が発生します。人的ネットワークの中に極めて多くの人とアクセスをするハブが発生するということは、ネットワーク理論の世界で広く検証されてきました。
自分自身がハブになれば「人脈」が広いということになるでしょう。また、自身がハブになれなくても、このようなハブを見極めて関係を築くことで「人脈」を広げることができるでしょう。
#3:人脈とは、一肌脱いでくれる人
そもそも、ビジネスに役立つ「人脈」とはどのようなものでしょうか。法政大学経営大学院イノベーション・マネージメント研究科の高田朝子教授は著書の『人脈ができる人 人は誰のために「一肌脱ぐ」のか?(慶應義塾大学出版会)』で、ビジネスパーソンの人脈の定義を「自分または自分たちのために一肌脱いでくれる可能性があると自分が認識している人の集合体」として、人脈の構造を説明しています。[1]
[1]高田朝子[2010]『人脈のできる人 人は誰のために「一肌ぬぐ」のか?』慶應義塾大学出版会
著書中で、人脈を構築しやすい環境は、いわゆる「修羅場」に共に巻き込まれている状態だと説いています。自らの体験を振り返っても、顧客向けの提案書を苦労して一緒に作成した元同僚や、共に学んだ仲間は今でも気兼ねなく、なんでも話せる仲間であり、大切な「人脈」です。
さらに、修羅場が成立する条件を三つあげています。①時間の制約があること、②アウトプットを求められていること、③成果を出す手順や方法は未知数で、自分たちで作らなくてはいけないこと 。この三つの条件が揃ったとき、人々は緊張を強いられ、試行錯誤を余儀なくされる修羅場が発生するそうです。
このような環境に敢えて身を置くことで「人脈」が構築できる可能性が高まります。ビジネススクールなどで新しい仲間と学び、発表資料を作成したり、ボランティア活動で共通の目標を達成することでも良いでしょう。会社のマネジャー的な立場であれば、部下を社外のメンバーも含んだプロジェクトに参画させることで人脈が豊富な人材を育成できるのではないでしょうか。「人脈」を構築してビジネスの活性化に結びつけたいものです。
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執筆者:取材の匠 ライター 東 隆志
中小企業診断士
1972年東京都武蔵野市生まれ。大学卒業後の19年間、IT企業の営業職を経験。家業をつぐために退職する。経営に興味を持ち中小企業診断士の資格取得を目指す。その後、法政大学経営大学院イノベーション・マネジメント研究科経営管理修士(MBA)を修了。現在は、家業の不動産事業を経営しながら、中小企業の支援を行う。これまでに経験したIT、営業分野に加え、事業承継・創業支援など幅広く活動している。