中小企業を取り巻く経営環境の変化が激しい中、企業が持続的な成長を目指すためには、既存事業にこだわらず、新たな事業の柱をつくる取り組みが必要です。

新事業展開にあたっては、マーケティング戦術の基本である「4P」のフレームワークが役に立ちます。

4Pとは「Product(製品)」、「Price(値段)」、「Place(流通)」、「Promotion(プロモーション)」の頭文字をとった、マーケティング戦術を考えるためのフレームワークです。「何を」「いくらで」「どういう経路で」顧客に届けるのか、「どのように」顧客に情報を届けるのかを考えます。

しかし、実践をしようとすると非常に難しいものです。中小企業がつまずきやすいポイントを解説します。

#1:技術スタートの4Pでは、顧客が振り向かない!

まず、4Pのうち「Product(製品)」について考えましょう。

中小企業では、「我が社が持つ高い技術力を生かした製品をつくろう」と、自社技術ありきで製品を考える企業が多く見受けられます。

その結果、顧客の欲しがる製品をつくれず、「自社製品を作ったものの、売上が伸びないんです」というお悩みをよく伺います。

このような場合、次の観点から「Product」を考えるとよいでしょう。

①その製品は「誰」に「どのような価値を」届けますか?

②その製品が解決する課題は何でしょうか?

この2つの視点がない限り、たとえ技術力を生かした性能のよい製品でも、顧客が欲しがっている製品ではありません。顧客に提供する「価値」が明確に定まっていないからです。

4Pのスタートは自社ではなく、ターゲットとなる顧客です。顧客が抱える課題に対し、自社が持つ技術や強みを掛け合わせることで、初めて「Product」が定まります。

「どのような価値か」という点がわかりにくい場合は、「その製品で、何が便利になるのか?」と言い換えてもよいでしょう。

2:わからなければ、ターゲットに聞いてみよう!

4Pのうち「Price(値段)」と「Place(流通)」については、苦手意識を持つ中小企業が多いのではないでしょうか。

「Price(値段)」については、相対的に低い値段をつける企業が多く見受けられます。「安ければお客様が買ってくれるのでは」と考えていることが要因です。

「Place(流通)」については、自社が持つ既存販路が使えず、新たに開拓しなければならないという状況のために、どうすればよいか検討がつかないというケースがあります。

このような悩みを突破した企業の多くは、とにかくターゲットとなる「顧客」に足を運んでいます。

「Price」であれば、開発している製品を売りたいお店に行き、値段を見る。どれくらいの値段であれば買うか、顧客となる人々に聞いてみるのです。

「Place」も同様で、顧客となる人々が行くお店に実際に行ってみることが有益です。ターゲット顧客が集まる展示会に出向くことで、販路につながることもあります。

ポイントは、製品のターゲット像が明確であれば、足を運ぶべき現場も自然に決まるということです。つまり、ターゲット像が明確でなければ、4Pの軸もぶれてしまうのです。

3:ターゲット像が明確であれば、4Pも自然と定まる

最後の「Promotion」も同じで、ターゲット像が明確であれば、ターゲットがよく触れるプロモーション手段を検討することからスタートできます。例えば、20代の若い女性がターゲット像であれば、Instagramを始めとしたSNS戦略を検討できるでしょう。

つまり、4Pの土台はすべてターゲットとなる「顧客」です。ぶれないターゲット像を決めることで、4Pの首尾一貫性が高まり、その後の事業開発もスムーズに進みます。

その新規事業は、「誰に」「どのような価値」を届けるのでしょうか?立ち止まってじっくり考えてみましょう。

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執筆者:取材の匠 ライター 米澤 智子

中小企業診断士
中小企業診断士/一級ファイナンシャル・プランニング技能士
1985年生まれ、神奈川県出身。
2009年地方銀行入行、債権管理および中小企業融資業務に従事した後、
総務部門で銀行全体の通信設備管理や株主総会運営に携わる。
2016年中小企業診断士登録。
2017年より中小企業支援機関に勤務。
専門家派遣事業において商店街の小売・サービス業に対する経営支援のほか、製造業の新製品開発支援事業に従事。2019年より中小企業向け展示会の運営に携わる。