会社が不祥事を起こすとよく話題に上るのは、コーポレートガバナンスが欠落していたのではないかと言われることが多いです。コーポレートガバナンスとは、株主、金融機関等の債権者、従業員、顧客など利害関係者によって会社を統治・監視する仕組みのことです。

会社を経営していくにあたって、構築しておくべき仕組みは存在します。その仕組みを構築、整備しておくことで、利害関係者に対して信頼感が生まれます。信頼感が会社の存続につながります。仕組みを構築、整備するヒントとなる6つの事項を確認し、ぜひ取り入れてみてください。

 

#1中小企業のガバナンスの実態は?

中小企業の多くにとって、主な利害関係者は金融機関になると言えるでしょう。両者の経済的な関係は、以下のようになります。金融機関は中小企業に対して資金を貸出し、中小企業がその資金を元手に設備投資や販路開拓に充て、企業が業績向上、安定成長に向かっていき、その資金を金融機関に返済や利息支払いを行うことで循環していきます。

金融機関からすると、中小企業の事業内容や将来性を評価するにあたり、中小企業から提出される情報が十分でなければ、積極的に貸し出す意思決定を行いにくくなると思います。

現状の中小企業のガバナンスの実態は、金融機関に対して決算書や事業計画を提出するにとどまっているのが現状です。ここから一歩踏み込んでガバナンスを強化することが、利害関係者への信頼と自社の安定成長につなげていく基盤作りとなるでしょう。

上場企業では、平成17年の会社法施行時から内部統制システムの構築が会社法上で要求されており、平成27年5月の改正会社法施行や同年6月から日本再興戦略に基づいたコーポレートガバナンスコードが適用され、ガバナンスの強化が進んでいます。上場企業で浸透してきたガバナンスからヒントを学びましょう。

#2目指していくべき中小企業のガバナンスのための6つのヒント

6つのヒントは、①統制環境、②リスクの評価と対応、③統制活動、④情報と伝達、⑤モニタリング、⑥IT(情報技術)への対応です。これらは内部統制の構成要素と言われます。

これら6つの事項に対して、中小企業でもできる方策を考えてみましょう。

①統制環境は、会社の組織風土のことです。経営者の経営理念や方針を従業員に浸透させるには単純に、利益を生むために努力しましょう、ではなく、どういう考えで社会に貢献していきたいのかなど、従業員に対して共感を得られるかを示してみましょう。

②リスクの評価と対応は、目標の達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析及び評価し、そのリスクへの適切な対応を選択するプロセスのことです。例えば、従業員が会社の現金を横領されることがないように資産管理の規程を作成しておくなどです。

③統制活動は、経営者の命令や指示が適切に実行されることを確保するために定められる方針及び手続のことであり、社内のルール作りそのものです。

④情報と伝達は、つまり、情報共有のことです。社内の場合、副次的に双方向のコミュニケーションで自由闊達な議論から豊かなアイデアが生まれるでしょう。

⑤モニタリングは、内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセスのことです。従業員がルール通りに行動しているか、定期的にチェックすることは、適正な評価にもつながります。ここで注意すべきは、杓子定規にチェックを強化すると、従業員が監視されていると感じてモチベーションが下がる恐れがあります。

⑥ITへの対応とは、業務の実施において組織の内外のITに対し適切に対応することです。現代のIT環境を考えると、非常に重要です。アクセス管理やシステムエラーが起こらないように必要最低限の投資が必要です。特に、売上・販売管理でお悩みの方は、「ウランバ!!」のクラウドサービスをぜひご検討ください(http://www.uranba.com/)。

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執筆者:取材の学校 ライター 中小企業診断士 村田 朗

公認会計士、中小企業診断士、販売士1級、登録政治資金監査人。

1986年大阪府大阪市出身、東京都港区在住。大阪市立大学経済学部卒業後、大手監査法人に入所。上場企業の監査を中心に、製造業、小売業、医薬品業、金融業、学校法人などの監査業務に従事。「継続は力なり」をモットーに、会計・税務・資金調達の面からコツコツ努力する経営者の方をサポートできるよう活動中!